保温して冬春野菜をうまくつくろう
●野菜の生育と温度
野菜は、土壌水分や施肥が適切に管理されていれば、その生育はほぼ積算温度に比例します。温度が高ければ早く生育して収穫に至りますし、低ければ遅くなるわけです。
表に示したように、野菜が順調に育つ温度が生育適温で、冬春野菜は夏のナスやキュウリより低めの15~20℃です。秋や春は生育にちょうどよい温度なのですが、12月から3月の冬の温度は平均気温で10℃満と低く、生育適温を大きく下回っているため、収穫できる時期が遅れます。被覆資材で保温することで、収穫時期を早められます。
●耐寒性の違い
冬春野菜は、抽苔(ちゅうだい)の心配がありますのでその時期に栽培しても大丈夫な品種を選定してください。そのうえで、野菜の耐寒性に合わせて保温することで、生育を早めたり、寒害を回避します。
耐寒性が特に強いものや強いものは、被覆資材で被覆しなくても、厳寒期に緩やかに生育することができたり、生育を止めて生存できます。
これは徐々に寒さに慣れていくことで寒さに耐えられており、急激な温度変化の場合には障害がおきてしまいます。ホウレンソウは、被覆資材で保温することで、生育が促進されて収穫時期を早められます。やや弱いものの中には霜(3℃以下の温度で降りる可能性あり)で傷んだりするものがあり、ハクサイでは厳寒期前に外葉を結束するなど防寒対策を図ります。弱いものは冬の間は霜などによる寒害を受けやすいため、被覆資材による保温が必要といえます。

●被覆資材の種類と保温性
冬春野菜の栽培で温度を確保するために最初にすべきことは、野菜の根が活動しやすいように地面の温度を確保することで、9月号(コチラからご覧いただけます)で紹介したように黒や透明のマルチで、土壌表面を被覆して栽培することです。さらにビニルフィルムなどの被覆資材をトンネル被覆して温度を確保します。保温が目的の被覆資材にはそれぞれ特徴があり、温度が高まりやすい資材では、温度が高まる日中には裾換気する必要があります。最高最低温度計をトンネル内に設置して、どれほどの温度になっているか確認し、最高温度が30℃以下となるよう管理したいものです。レタスは高温や寒さに弱く、結球葉が障害を受けやすいので温度管理には特に注意が必要で、湿度が100%近い時間が続くと傷んだ葉での病害の発症につながりやすいため、夕方に少し換気をして湿度を抜きたいです。 結球レタスよりリーフレタスの方が障害を受けにくいので作りやすいといえます。
このような温度管理には労力がかかるため、保温効果が劣りますが通気性のある有孔フィルムや不織布を被覆資材として選定するのも一つの方策です。
トンネル被覆では、風を強く受けて被覆資材が飛んでしまうことがあります。飛ばないように、ハウスバンドや支柱を用いて被覆資材の上面から押さえる必要がありますので、ご注意ください。

※密閉したフィルムトンネルは風当たりが強く、フィルム上部からのハウスバンドや支柱での抑えが不可欠。
※有孔フィルムや不織布は保温効果が劣るが通気性があるため(程度差に注意)、急な気温上昇や換気の手間を抑えられる。





